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AI活用の実例から知る~ 「メディア×〇〇」連携のカタチ 熊本県Pre-UXイノベーションハブ 実施報告書

実施報告

開催日時 2026年10月19日(月)
会場 Pre-UX イノベーションハブ
主催 熊本県・Pre-UXイノベーションハブ
参加対象 県内企業、大学・研究機関、スタートアップ、メディア関係者、高校生(宇土高校)等

プログラム構成・登壇者

  • 14:35 – 15:05 キーノートスピーチ:井上 直樹 氏(日本テレビ報道局調査報道課)
  • 15:05 – 15:35 事例共有:永倉 氏(株式会社熊本放送 RKK)、江島 代表(株式会社もみじAI)
  • 15:40 – 16:20 パネルディスカッション:井上 氏、永倉 氏、江島 氏(モデレーター:深川 氏 / 熊本日日新聞社・クロスポイント)
  • 16:20 -16:40 特別発表:熊本県立宇土高等学校の皆様
  • 16:40 -17:00 名刺交換・交流会

開催概要

本セミナーは、熊本県が推進する「UXプロジェクト」の一環として開催されました。

今年度より支援対象をライフサイエンス分野からAI、データ、モビリティ、エネルギー分野へ拡大したことを背景に、メディアが保有する取材力・コンテンツ・発信力と、企業・大学・スタートアップが持つ技術や知見を掛け合わせ、新たな地域課題解決および社会実装・事業化につながる社外連携(オープンイノベーション)の可能性を探ることを目的として実施いたしました。

主要演題・講演要旨

キーノートスピーチ「メディアが社外連携に求める可能性」

講師:井上 直樹 氏(日本テレビ報道局調査報道課)

メディアと社外の技術・データを連携させた多様な実践事例が紹介され、オープンイノベーションによる地域課題解決の可能性が提示されました。

オープンデータ・行政データの可視化と報道

  • 約20年分の市議会議事録データを可視化し、発言数の少ない地域への現場取材・課題発掘へつなげた事例(西日本新聞×NECソリューションイノベーター)。

  • 消防出動データ(約1万4,000件)の解析による地域特有の事故リスク(海での転落等)の可視化と啓発報道。

先進技術(衛星データ・AI・ジャイロセンサー)の活用

  • 衛星データと地域研究(千葉大学)を組み合わせた地表面温度の可視化(猛暑報道)。

  • スマートフォンのセンサー・GPSを活用した熊本地震後の道路段差・被害状況の可視化。

  • 激戦地の衛星画像をAI解析し、建物の損壊状況を可視化した報道(NHK×Planet Labs等)。

生成AI・自動化技術による業務革新と新たな情報発信

  • 気象データからの天気予報記事の自動生成(Wordsmith活用)による低コスト化の実証。「1万人が読む1本の記事」から「1人が読む記事を1万本生成する」地域メディアの新たな可能性。

  • 朝の報道番組『ZIP!』制作におけるGemini等を活用した企画立案・ネタ出しの効率化。

共創を育むハッカソンとコンテンツのAPI開放

  • 外部エンジニア・デザイナーと連携した「クリエイティブメディアハッカソン」(Code for Japan連携)の開催による社内意識変革と人材交流。

  • ニュースや教育コンテンツ(NHK for School等)のAPI提供を通じた、ロボット読み上げや介護・教育現場等での二次利用拡大。

事例共有セッション

登壇者:永倉 氏(株式会社熊本放送 RKK)、江島 代表(株式会社もみじAI)

放送局現場でのAI・データ活用の具体例や、AI技術を持つスタートアップ企業との実際の共創・連携事例について発表が行われました。

地域メディアが抱える課題に対し、外部の高度なAI技術をどのように組み合わせて現場実装へつなげていくか、具体的なプロセスやアプローチ方法が提示されました。

パネルディスカッション

テーマ「メディアと外部企業・スタートアップの連携をどう進めるか」

パネリスト:井上 直樹 氏、永倉 氏、江島 代表
ファシリテーター:深川 氏(熊本日日新聞社/クロスポイント)

キーノートスピーチおよび事例共有を踏まえ、社外連携を推進する上での実務的な課題や成功のポイントについて多角的な議論が行われました。

協業パートナーの選定とアプローチ

伝統的なメディア組織とスピード感のあるスタートアップや大学・研究機関が対等に組むための接点の作り方や、初期アプローチの工夫について意見が交わされました。

「マネタイズ」への考え方とステップ

連携開始直後から目先の収益のみを目的化すると双方のミスマッチを生みやすいため、まずは行政や地域住民などの実際の利用者を切り拓き、技術・サービスの実績(実証事例)を作ることが最優先である点が強調されました。

報道・一回性の実証で終わらせない「社会実装」

一時的なニュース報道や実証実験で満足せず、継続的な行政サービスや地域向け事業・商品として落とし込むための予算確保や全社的な協力体制の重要性が示されました。

信頼関係と組織風土

最終的には「人と人との信頼関係」が共創の基礎であり、失敗を許容し合いながら共に挑戦できる関係性を構築することが、社内の意識改革や変革につながるとまとめられました。

次世代による特別発表(宇土高校の皆様)

本イベントでは、地域課題解決や探究学習に取り組む熊本県立宇土高等学校の生徒の皆様によるプレゼンテーションが実施されました。

世代ならではの視点や柔軟な発想から出された課題意識・アイデアが共有され、登壇したメディア関係者や企業・支援機関からも高い評価とフィードバックが寄せられました。世代を超えた地域課題解決・共創の場としての大きな広がりを見せました。

社外連携(オープンイノベーション)における効果・課題・理想像

連携による双方のメリット

メディア側:自社にない分析技術や最新テクノロジーの導入による表現手法の高度化、外部視点による組織風土改革や採用・ブランディング強化。

企業・大学側:自社技術・サービスの実証フィールドの獲得、報道を通じた社会認知度の向上、社会課題解決への寄与、技術の新たな用途開発。

成果創出に向けた課題と成功の鍵

マネタイズ・収益化へのステップ

・初期段階から目先の利益のみを追うのではなく、まずは行政や地域住民などの実際の利用者を切り拓き、実証実績を作るプロセスが不可欠。

・持続可能な連携体制

単なる一回性の実証実験や報道で終わらせず、経営層の理解と予算確保のもと、商品化・サービス化および行政サービス等への「社会実装」まで見据えた全社的取組が重要。

・人間関係と信頼関係

契約条件等の形式面だけでなく、失敗を許容し合える個人間の信頼関係と挑戦姿勢が共創の基盤となる点を確認。

全体総括

本セミナーでは、従来の枠組みにとらわれない「メディア×テクノロジー・データ」の先進事例が提示され、参加した県内事業者・大学・スタートアップにとって自社技術の新たな活用法(メディア連携・地域課題解決)を具体的にイメージする貴重な機会となりました。

また、パネルディスカッションや宇土高校生による発表、イベント後の名刺交換・交流会を通じて、参加者同士の新たなネットワークが構築されました。

 

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